【那覇市】高齢者の免許返納を支える取り組み

高齢ドライバーによる事故防止は、全国的に避けて通れないテーマです。
那覇市では、公共交通の利用促進に免許返納を促す取り組みが進められており、令和7年2月20日の市議会代表質問では、金城なおこ議員が返納後の生活支援について取り上げました。
ただ、制度があること自体が十分に知られていなかったり、「実際に返納したら、どんなふうに生活が回るのか」がイメージしづらかったりすることが、利用の壁になっているように感じます。
この記事では、那覇市と沖縄県警の施策を分かりやすく紹介し、返納後の生活を具体的に想像できるよう「1日のモデルケース」を示します。

① 65歳以上の「免許返納者用OKICA」
バス・ゆいレール運賃が半額に
那覇市では、65歳以上で運転免許を自主返納した方に向けて、バス・ゆいレールの運賃が半額になる「免許返納OKICA」をご紹介しています。
制度の概要
- 対象:65歳以上で免許を自主返納した市民
- 内容:バス・ゆいレールの運賃が50%割引
- 形式:専用のOKICAカードに割引設定
課題
- 申請方法が分かりにくい
- OKICAを使ったことがない高齢者も多い
- 家族が制度を知らず、返納の後押しにつながらないことも
② 地域の移動サポート(送迎支援)
返納後の生活を支える「移動の確保」
那覇市では、地域包括支援センターや福祉サービスを通じて、買い物・通院などの移動支援(送迎)が行われています。
主な支援例
- 地域包括支援センターによる送迎
- ボランティア団体の移動支援
- 福祉タクシーの割引制度
課題
- 地域ごとに制度が異なり、情報が分散
- 「どこに相談すればよいか分からない」という声もある
③ 運転経歴証明書による特典
協賛店舗での割引サービス
沖縄県警が発行する運転経歴証明書を提示すると、協賛店舗で割引やサービスを受けられます。
特典例(県内)
- ゆいレール運賃50%割引(65歳以上)
- 飲食店での割引・サービス
- 一部地域のコミュニティバス割引
課題
- 証明書の存在自体が知られていない
- 特典の一覧が分かりにくい
- スーパーや薬局など生活密着型の特典が少ない
運転経歴証明書とは?
運転経歴証明書は、運転免許を自主返納したことを公的に証明するカード型の身分証明書です。
免許証と同じサイズで、氏名・住所・生年月日・返納日・過去に受けていた免許の種類が記載されます。
✔ 主な特徴
- 有効期限なし(更新不要)
- 身分証明書として利用可能
- 協賛店舗で割引やサービスを受けられる(沖縄県警の制度)
- 自主返納から5年以内なら申請可能
✔ 申請できる人
- 沖縄県内に住所がある
- 運転免許を自主返納した本人
- 返納から5年以内
- 本人申請が基本(病気・入院時は家族の代理申請も可)


免許返納の流れ
STEP
免許を自主返納する(申請取消)
- 免許センター or 最寄りの警察署で手続き
- 免許証を返納
- 返納日が記録される
- 代理申請も可能

STEP
運転経歴証明書を申請する
- 自主返納と同時に申請するか、後日(5年以内)に申請するかを選べる(各警察署で行う場合は同時に申請する方のみ)
- 必要書類を提出

STEP
手数料を支払う
- 経歴証明書のみ 1,150円(沖縄県収入証紙)
- マイナ経歴証明書のみ 900円
- 両方2枚持ち 1,250円
- 窓口で購入可能

STEP
証明写真を提出する
- サイズ:縦3cm × 横2.4cm(6ヶ月以内)
- 免許センター内で撮影できる場合もあり

STEP
証明書を受け取る
- 即日交付 or 後日交付(窓口によるが2週間~1ヶ月程度かかる)
- 受け取り後すぐに身分証として利用可能
- 協賛店舗での割引も利用できる

制度をどう使う?返納後の1日をモデル化して解説
制度が整っていても、「実際の生活でどう使うのか」が分からず、返納の判断につながらないといったことも見受けられます。
そこで、那覇市の制度を組み合わせた返納後の1日のモデルケースを示します。利用例の一つとしてご覧ください。
【モデルケース】免許返納後の1日の流れ🕙
ここでは、那覇市在住で健康かつ自立した生活を送る75歳の高齢者を想定し、通院(那覇市立病院)・買い物・外出を行う1日をモデル化します。
(※以下は筆者によるイメージモデルです。実際の利用状況は個人や地域により異なります。)
① 朝:通院(那覇市立病院)
【移動手段】地域の移動サポート(送迎)
※近くにバス停や病院送迎がない場合は、以下のような移動サービスも利用できます。
- 高齢者向けタクシー割引(沖東交通・第一交通など)
- 地域包括支援センターの移動支援
- 民間の外出サポートサービス
- 電動シニアカ―のレンタル(介護保険適用でなければ月額料が高いのが実状)
② 午前:病院の帰りに買い物へ
【移動手段】バス+免許返納OKICA(半額)
- 病院前のバス停(例:那覇市立病院前)から乗車
- 免許返納OKICAで運賃が半額
- 買い物先の最寄りバス停で下車
③ 昼:スーパーで買い物
【特典】運転経歴証明書の協賛店舗割引
- 昼食を取る場合、協賛飲食店で割引を利用可能
(※運転経歴証明書を提示すると、協賛店舗で割引やサービスを受けられる制度があります。内容は店舗により異なります。)
出典:沖縄交通安全協会連合会
④ 午後:帰宅
【移動手段】タクシー or 地域送迎
- 荷物が多い日はタクシーを利用
- 地域送迎があれば帰りも利用可能
⑤ 夕方:ゆいレールで外出
【移動手段】ゆいレール+免許返納OKICA
- 趣味や交流の外出にも半額で利用可能



見えてきた課題と改善の方向性
① ラストワンマイル1対策の強化
- 自宅〜バス停・駅の移動が最大の壁
- デマンド交通2や電動シニアカー補助が有効
- 電動三輪スクーターなども検討する(折りたたみ可能な車種あり)
移動の選択肢を広げるための民間サービス
電動シニアカーのレンタル費用が高額になるケースもあるため、民間の電動三輪スクーターなど、別の移動手段を選ぶ方もいます。
以下は、その一例として取り扱い事業者の情報を紹介します。

② 制度のワンストップ案内
③ 生活密着型の特典の拡充
- スーパー・薬局・医療機関との連携が鍵
- 「返納して良かった」と実感できる制度へ
【脚注】
- 自宅から最寄りの交通手段までの“最後の短い区間”のこと。徒歩負担が大きくなりやすい部分を指します。 ↩︎
- 利用者の予約に応じて運行する“呼び出し型”の公共交通。決まった時刻表ではなく、必要なときに乗れる仕組み。 ↩︎
まとめ
那覇市では、高齢者の免許返納を支える多くの制度が整備されていますが、制度の存在が十分に知られていないこと、そして制度をどう組み合わせて使うかのイメージが持てないことが大きな課題です。
返納後の生活モデルを示すことで、高齢者本人だけでなく、家族も返納後の生活を具体的に想像しやすくなります。
今後は、制度の周知と、返納後の生活を支える仕組みの強化が求められます。
関連する取り組みと補足情報
参考リンク
※ 行政サイトは年度ごとにページ構成が変わるため、リンクが表示されない場合があります。
その際は「運転免許 自主返納」「高齢者支援」などで公式サイト内検索を行うと、最新の情報にアクセスできます。
制度の公式情報
- 沖縄県警察|運転免許の自主返納制度・運転経歴証明書について
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015030100369/ - 沖縄県警察|自主返納(申請取消)の手続(PDF)
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015030100369/file_contents/R7_jisyuhenou.pdf
手続きに必要な資料
- 運転経歴証明書の申請に必要なもの(PDF)
※県警サイト内の「運転経歴証明書」ページから取得
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015030100369/file_contents/R7_saikouhu_hituyounamono.pdf - 運転免許センター・各警察署の受付時間
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015030100369/file_contents/R7_keireki_youbi_jikan.pdf
返納後の支援・特典
- OKICA|免許返納者用OKICA(ガイドブック内目次参照)
https://info.okica.jp/wp-content/themes/main/pdf/okica_guidebook2022.pdf - 沖縄県|免許返納者向け優遇措置(協賛店一覧)
※県警「優遇措置一覧表」ページ
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2026021700024/file_contents/R8_yugusochiichiran.pdf
補足資料・参考情報
- 内閣府|高齢者の交通事故防止に向けた取組
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r06kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_2_2.html - 総務省|運転経歴証明書の申請・交付窓口拡大(PDF)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000665347.pdf


