【防災なは】アンケートから見えた防災の課題と展望

2024年4月3日、台湾東部沖で発生した地震は、沖縄を含む広域に津波警報が発令される事態となり、市民の不安とともに那覇市の防災対応が改めて注目されました。
この警報を受けて、本市は迅速な情報発信と避難体制の確認を行いましたが、今後の体制強化に向けて防災タイムラインの再構築が必要であるという認識も生まれました。

その後、令和6年4月24日(水)〜5月17日(金)にかけて市民アンケートが実施され、避難体制や情報伝達への意識を調査。得られた課題をもとに、タイムラインの改訂やアプリ開発、資格取得支援など多面的な施策検討が始まっています。

本記事では、市議会でのやりとりをもとに、那覇市の防災に関する3つの焦点——避難計画の課題、ICTの活用、地域人材育成の支援について整理していきます。

令和6年6月定例会から那覇市の防災体制を問い直す

①今後の防災体制について令和6年4月24日(水)〜5月17日(金)にアンケートの実施を行ったがその後どのような課題があったのか。また地震津波タイムライン策定(改訂)にあたって先の課題をどのように展開していくのか、本市の見解を伺う

島袋久枝
総務部長

今回の津波警報につきましては、沖縄本島で地震の揺れは観測されず、津波の危険性を実感できない状況での発表であったことから、市民が避難に戸惑った状況がありました。
本市のアンケート結果からは、警報について認識がない市民や避難行動を取らなかった市民、避難行動を取らせず業務を継続した事業所や事業主がいたこと、道路で渋滞が発生したことや避難所が分からない市民がいたことが課題として挙げられました。
これらの課題の解決策の一つとして、マイタイムラインを用いた地震・津波避難の事前計画の作成と普及啓発を実施していくことを検討しております。
具体的には、防災訓練の一環として実施予定の防災ワークショップなどで、地震や津波に関するマイタイムラインを実際に作成し学べる場を設け、地震や津波の避難に対する理解や啓発を図ってまいります。

金城なおこ

アンケートの結果から様々な課題を把握いたしました。避難行動を取らなかったということで、やはり日頃から津波避難行動について市民へしっかりとした意識づけは必要であるかと考えます。
例えば、庁内においてもぜひ各課で主要な課題について、いつ、誰が、何をするのか、具体的に話合い、津波避難タイムラインの策定を早急に行っていただきたいと思っております。
重要なのは、災害発生時に取る行動が可視化できるように統一認識を持つことであります。策定された津波避難タイムラインが絵に描いた餅になってしまっては意味がないと考えております。津波避難タイムラインの策定に関して、先進地の事例を参考に進めていただきますよう、お願いをいたします。
また、今回のアンケートの結果を踏まえた上で、マイタイムラインの作成や普及、防災講話、ワークショップを行っていただくと答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
地域別での課題、対応はそれぞれ違うものだと思っております。海抜の低い地域や高い地域、交通量の多い地域や交通量は少ないけれども道幅が狭い地域、各地域に見合ったワークショップ、講話を継続的に行うことと併せて、ほかの種別の災害に備えたマイタイムラインに関する訓練などの取組等を提案いたしますが、本市の見解をお伺いいたします。

島袋久枝
総務部長

マイタイムライン作成に関するワークショップなどの市民向けの勉強会や訓練は、今後も継続して実施していく予定です。また、地震や津波だけでなく、その他の災害種別のマイタイムライン作成に関する訓練等も重要であると認識しております。
今後もあらゆる災害に対応できるよう、勉強会や訓練等についても取り組んでまいります。

②津波災害時の避難経路を検索できるアプリの開発を先進自治体では現在地と近くの指定避難場所までの経路を地図上に示し、「避難時間が最も短い」「押し寄せる津波の水を避けながら逃げられる」「道路状態が良く安全に逃げやすい」という3経路が表示され災害時に通信が使えない状況に備え、事前にダウンロードできるように対応を進めているがアプリの導入について本市の見解を伺う

島袋久枝
総務部長

現在普及しているスマートフォンなどのツールは、GPSなどの情報を基に、自分の現在位置や避難場所までの距離などを正確に把握できるため、災害時の避難に非常に有効であると考えます。
 現在、先進自治体では、独自に開発したデジタル防災アプリを市民へ提供し、災害に備えている実例があるため、本市の防災力向上に資する取組として、導入に向け調査研究を進め、検討してまいります。

金城なおこ

現在普及をしている防災アプリが災害時に有効であり、これらのアプリは津波の発生を迅速に観測し、リアルタイムで情報を提供する機能を備えていることも認識をしております。
私が今回提案をする津波避難アプリでございますが、このアプリの重要な点は、通信インフラが途絶えても使用ができるということであります。すなわち、事前にダウンロードが可能であり、さらに多言語化でき、利用ができることであります。また、ライブカメラで常に状況把握ができるなど、避難時間が最も短いルート、また押し寄せる津波を避けながら逃げられるルート、通路状態がよく安全に逃げやすいルート、この3ルートをしっかりと踏まえた内容を盛り込んでいただきたいと思います。その機能を持ち合わせた本市独自のアプリの導入も含め、今後の取組にも併せて期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(2)防災士資格取得にかかる支援について本市の見解を伺う

島袋久枝
総務部長

防災士の育成は地域の防災力の強化に有益であると認識はしております。
他方、予算等を伴う取組であることから、財源の確保や助成の対象、範囲など、検討課題があると考えております。今後、他の自治体の助成などの状況等を調査してまいります。

金城なおこ

防災士資格取得に係る支援でありますが、以前より多くの議員が質問をしていることに加え、県内の自治体でも地域防災力の向上を図るため、防災士資格の取得補助を行っている自治体が増えてまいりました。
例えば南城市であれば、補助対象者要綱に防災士認証登録後、防災サポーター登録を申請した方、また、うるま市では、自主防災組織や推薦状を出した方など補助対象の条件を定めております。
地域防災の担い手の育成として、改めて防災士資格取得に係る支援についても本市にて取得支援を行っていただきたいと要望いたしますが、いま一度部長の見解をお伺いいたします。

島袋久枝
総務部長

先ほども申しましたが、今後導入に向けては助成の対象や範囲など、検討課題があると考えております。今後は他の自治体の助成の状況などを調査してまいりたいと思っています。

「避難の必要性が実感できない」

こうした課題に対し、那覇市は「マイタイムライン」の作成と普及啓発を進める方針を示しています。

マイタイムラインとは

地震発生から津波警報解除までの流れに沿って、個人や家庭が取るべき避難行動を事前に計画するツールです。

その普及の場として注目されているのが、防災ワークショップ
市内では、総合防災訓練や地域イベントの一環として、実際にマイタイムラインを作成しながら、地震・津波への理解を深める取り組みが始まっています。

市民とともに育てる防災力

ワークショップでは、避難経路の確認や防災食の体験、防災かるたなどを通じて、子どもから大人までが楽しみながら学べる場が提供されています。
また、那覇商業高校の生徒による地域連携型の防災活動も展開されており、若い世代が防災の担い手として育っている姿も印象的です。

1.研修受講
・認定機関での防災士養成研修講
(2日間以上)
費用目安 
 約49,000円(機関により異なる)
2.資格試験
・3択式30問/正答率80%以上で合格
費用目安 3,000円
3.救命救急講習
*AED・心肺蘇生法など(消防署等で受講)
*費用目安 無料~数千円
4.認証登録
*日本防災士機構への申請
*費用目安 5,000円

地域を守る力を育てる—防災士資格取得のすすめ

災害が起きたとき、行政機能が一時的に停止することもあります。
そんなとき、地域の中で冷静に動ける人がいるかどうかが、命を守る分かれ道になります。
その“地域の防災リーダー”として期待されているのが、防災士です。

防災士とは?

防災士は、地震・津波・台風などの災害に備え、自助・共助・協働の視点から行動できる人材として、日本防災士機構が認証する民間資格です。地域の避難誘導や防災訓練の企画、災害時の情報整理など、現場で動ける人材として全国で活躍しています。

那覇市での支援と展望

那覇市では、地域防災力の向上を目指し、防災士資格取得に関する支援のあり方を検討しています。
金城なおこは「市民一人ひとりが防災の担い手になることが、命を守るまちづくりにつながる」と語り、防災士の育成支援を政策の柱のひとつとして位置づけています。

資格取得がもたらすもの

  • 地域の信頼を得て、リーダーとしての役割を担える
  • 地域の防災訓練や避難所運営に参加しやすくなる
  • 家族や職場での防災意識が高まる
  • 災害時に冷静な判断と行動ができる

防災士資格は、単なる知識の証明ではなく、地域を守る力を育てる一歩です。
那覇市でも、こうした人材が増えることで、災害に強いまちづくりが進んでいくことが期待されています。

【参考】
那覇市総合防災訓練|那覇市公式ホームページ
那覇商業高校「助ケ隊」の防災ワークショップ|note

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